2025.10.03
インプラントの痛みが心配な方へ。手術前後の3つのポイントを紹介
インプラント治療を検討されている方の中には、「手術は痛いのではないか」「術後の痛みはどの程度続くのか」といった不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。実際のところ、インプラント手術中は局所麻酔を使用するため、痛みを感じることはほとんどありません。
また、術後の痛みや腫れも適切な処置により最小限に抑えることができます。本記事では、インプラント治療における痛みの実際と、痛みを軽減するための工夫について詳しく解説いたします。
虫歯や親知らずの抜歯との比較や、術後の適切な過ごし方、長期的なメンテナンス方法まで、インプラント治療に関する痛みの不安を解消できる情報をお届けします。
インプラントの痛みはどの程度?
各種治療との違いについて
インプラント治療に関心をお持ちでも、「未知の痛みを経験するのではないか」「痛みがどれほど継続するのか」といった心配をされていませんか?
インプラント治療時の痛みや腫れについて詳しく解説いたします。
虫歯や歯周病の痛みとの違い
神経にまで達した重篤な虫歯の痛みや、歯周病による化膿状態での激痛を経験し、歯科治療は辛いものだと感じている方は少なくありません。インプラント埋入部位には局所麻酔を行うので、痛みはほぼ感じられません。全身麻酔ではないため、骨削合時の振動や音が伝わることがあります。
親知らずの抜歯との違い
親知らずの抜歯では、生え方が特殊な場合に麻酔の効果が不十分だったり、歯ぐきに埋まった状態では抜歯に長時間を要し、患者様にとって辛い体験となることもあります。インプラント治療は親知らずの抜歯より所要時間が短く、1本の埋入時間は約15分から20分程度となります。
痛みや腫れについても、「下顎に埋まった親知らずの抜歯」と「通常のインプラント治療(骨造成なし)」を比較した場合、親知らずの抜歯の方が強い痛みが長期間継続するケースが多いのです。
インプラント治療の方が小規模な処置といえるでしょう。
痛みは2〜3日程度で
落ち着くケースがほとんど
インプラントは外科的処置のため、手術後2〜3日間は痛みや腫れが起こりやすいとされています。特にインプラント埋入本数が多い場合や、骨増生治療を併用する場合には、痛みや腫れが長期化する可能性があります。
インプラント手術は痛くないの?
手術中の痛みはほぼありません
インプラントを埋め込む箇所に局所麻酔を施すため、痛みを感じることはほとんどないでしょう。全身麻酔ではないため、骨を削る際の振動や音を感じる場合があります。
歯科治療への不安が強い方やインプラント埋入数が多い方には、眠ったような状態で手術を受けられる「静脈内鎮静法」という方法もあります。これは全身麻酔とは異なり意識を失うわけではなく、半分眠っているような状態で治療を受けることができる方法です。
インプラント手術後は痛い?
ほとんどのケースは痛み止めで抑えられる程度の痛みです。
インプラント手術では術後数日間、ある程度の痛みが生じますが、大部分のケースにおいて痛み止め(鎮痛剤)で抑制できる程度の痛みであり、数日ほどで落ち着くのが一般的です。インプラント埋入数が多い場合は痛みが長引く可能性があります。
骨造成を行ったことによる
痛みや腫れについて
骨造成はインプラント埋入時に骨の量が不足している場合に骨を増やす治療法です。骨造成治療は通常のインプラント治療よりも手術範囲が広くなるため、術後3日をピークとして約10日間、痛みや腫れが現れます。
痛みは鎮痛剤で抑制できますが、腫れが大きく現れる場合があります。骨を造成する際はできる限り負担の少ない術式で実施いたします。
術後の腫れについて
骨の量が充分にある場合やインプラント埋入本数が少ない場合には、腫れることはほとんどありませんが、
- 埋め込むインプラント本数が多い場合
- 骨造成治療を実施した場合
上記は腫れる可能性が高い傾向にあります。上顎より下顎の方が腫れやすく、骨増生治療の「サイナスリフト」では内出血が生じる場合があります。
腫れはインプラント手術後2〜3日をピークとして約10日間程度で引いていくことが多く、その間は鎮痛剤や抗生物質を処方いたします。ほとんどのケースでは痛みはありません。
歯ぐきを縫った部分の
違和感はどのくらいで消える?
インプラント手術で縫合した歯ぐきに違和感または痛みを感じる場合には、抜糸により症状が改善することが多いです。抜糸は約1週間程度で実施します。
その期間中、傷口が気になると思いますが、指や歯ブラシで触れないようにしてください。抜糸時にも麻酔を実施しますのでご安心ください。抜糸の際には、一般的に「チクチク」とした痛みを感じることが多いのですが、当院では麻酔を実施いたしますので、基本的に痛みはありません。
治療開始前に、腫れや痛みに関して詳しくご説明いたします。骨造成を行う場合は、腫れると支障がある日などを避けて、手術日程を調整いたします。
痛くないインプラント治療を
〜やまもと歯科のこだわり〜
徹底的に痛くない麻酔に
こだわっています
- あらかじめ表面麻酔を実施します歯肉の感覚が鈍化し痛みを感じにくい状態にします。
- 麻酔液を体温程度まで加温しておきます体温と麻酔薬に温度差があると、痛みを感じやすくなるため、当院では麻酔液を体温と同程度まで温めています。
- 極細の注射針を使用しています針は細いほど痛みが弱くなります。通常、0.3〜0.4mmの注射針を使用するところを、最も細い0.26mmの針を使用しています。
- 麻酔液をゆっくりと注入しますゆっくりと麻酔液を注入することで歯肉への圧迫が軽減され、痛みを感じにくくなります。当院では、まずそっと少量だけ麻酔液を注入して落ち着かせた後、ゆっくりと注入していきます。
やまもと歯科の麻酔のこだわり
静脈内鎮静法について
局所麻酔は患部のみの痛みを抑制することはできますが、治療時の器具の音や振動が聞こえてしまいます。歯科医院が苦手な方は音を聞いただけでも恐怖を感じられます。
そのような方には、眠るような状態で治療が受けられる「静脈内鎮静法」という治療方法があります。静脈内鎮静法は、全身麻酔とは異なり意識を失うわけではありません。
半分眠っているような状態なので恐怖心を抑制し、リラックスした状態で治療を受けることができます。「いつの間にか治療が終了し歯が入っていた」とおっしゃる患者様も少なくありません。
安心して手術を受けていただくために
やまもと歯科では、痛みに配慮した治療だけではなく、不安や緊張感を軽減していただけるように、手術の器具が患者様の目に触れないように工夫した室内で手術を受けていただきます。
さらに患者様の不安を解消するために手術の詳細な説明や治療の流れ、質問や疑問が生じた場合は丁寧にご回答して参ります。
インプラント治療で
痛みが出ないようにできること
インプラント手術後の過ごし方
局所麻酔はおよそ2〜3時間、静脈内鎮静法は3〜4時間ほどで麻酔が切れます。術後の痛みが現れないように、適切な過ごし方や注意点をご説明いたします。
- 食事について刺激物は控えて、軟らかいものを中心とした食事を心がけてください。患部での咀嚼は避けるようにしてください。また酸っぱいもの、甘いものも約1週間は避けてください。アルコールは血行が促進され、腫れや出血しやすくなるため飲酒も控えてください。
- 入浴について入浴は、術後2〜3日は避けてシャワー程度にしてください。高い温度のシャワーもお控えください。
- 運動について運動は、術後2〜3日は控え、安静に過ごしてください。サッカーや水泳などの全身運動は約1週間控えてください。
- 喫煙について喫煙は控えてください。顎骨とインプラントが結合しにくくなる可能性があります。
- 歯みがきについて歯みがきは患部を避け、うがいは優しくするようにしてください(患部以外の歯は、丁寧に歯みがきをしてください)。歯みがき粉は使用しないでください。
- 術後はできるだけ安静に血行が促進されると疼いたり、痛みが起こりやすくなるため、運動や入浴は避けて安静に過ごしてください。そして柔らかい食事からスタートされることをおすすめいたします。
処方された抗生剤や痛み止めのお薬の飲み忘れがないように、ご注意ください。さらに、長時間労働や睡眠不足なども回復力を低下させるため注意してください。
こんな痛みには注意!
すぐに歯科医院に連絡を
術後、1〜3週間後に抜糸を行います。それまで違和感や不快感を生じる場合もありますが、ほとんどのケースは一時的なものです。しかし下記に該当する場合には、歯科医師にご相談ください。
- 痛み止めが効かず、激しい痛みが継続する
- 術後3〜4日以上経過しても症状が変わらず、もしくは強くなる
- 上顎の手術後、鼻からの出血や膿が出る
- 下顎の手術後、下唇が痺れる、またはよだれが出る
インプラント治療後、
何年後かに痛みが出る場合
他の天然歯と同じく歯周病や咬合不良が原因かもしれません。インプラント治療から数年後に痛くなる原因は、
- インプラント周囲炎になっている
- かみ合わせが悪くなっている
などが考えられます。
インプラント周囲炎について
インプラントも他の歯と同じように歯周病類似の症状であるインプラント周囲炎を発症することがあります。インプラント周囲炎とは、細菌に感染し、周囲の歯ぐきが炎症を起こしたり、顎の骨が溶けてしまったりすることです。
歯肉に炎症が生じると、腫脹や出血とともに痛みが生じます。そして骨にまで炎症が進行すると、インプラントがぐらつき始め、痛くて噛めなくなります。インプラント周囲炎が進行すると最悪の場合、インプラントが脱落する可能性があります。
インプラント周囲炎を発症すると自然治癒することはありません。インプラント周囲炎は歯周病と同様、自覚症状がないうちに発症しているケースが多いため、定期的にメンテナンスに通い予防することが大切です。
インプラント周囲炎になってしまった場合の主な治療方法
インプラント周囲炎になってしまった場合の主な治療方法は、
- 歯周ポケットの洗浄歯垢
- 歯石の除去
- 薬剤での消毒洗浄
などです。炎症が歯肉や顎の骨に進行すると元に戻すことができないことがあります。原因に応じて治療を早急に進めることが重要です。
インプラントを長持ちさせる方法
インプラント周囲炎が起こる原因は、インプラントの周りの掃除ができていないためです。天然の歯と同じように周囲に歯垢がたまると、歯周病菌が発生し炎症が起こります。インプラント周囲炎でせっかく入れたインプラントを失わないように、日頃のケアと歯科医院でのメンテナンスが必要です。
メンテナンスとは、
- 毎日の歯みがきの徹底
- 歯科医院での定期的なメンテナンス
- 禁煙
などです。インプラントを長く使用するためにはインプラント周囲炎の予防を欠かすことはできません。早期発見、早期の治療でインプラント周囲炎を防ぐことができます。ご自身と歯科医院でメンテナンスをしっかりと実施し、お口の健康を維持させることが大切です。
インプラントのお手入れ
インプラント手術後のタバコのリスク
たばこのニコチンや一酸化炭素により、歯肉の免疫力が低下するため、歯周病菌の感染リスクが高まります。
インプラント周囲炎に罹患すると、インプラントの動揺などのトラブルが生じやすくなるため、インプラント自体の寿命を短縮してしまいます。
かみ合わせが原因で痛みが出る
インプラント治療直後は正しい咬合でも、年数経過により、周囲の他の歯が移動するとインプラントの咬合が変化することがあります。かみ合わせを改善するには、被せ物の形の調整を実施します。
天然歯と同じく咬合は口腔内の健康にとても重要です。インプラント手術から数年後の痛みや違和感や不具合はインプラントの周辺で何らかの問題が生じています。
できるだけ早く歯科医院へご相談ください。定期検診を受けていただくことでインプラント周囲炎やかみ合わせの変化をいち早く知り、痛みをはじめとする大きなトラブルを回避できるかもしれません。
限りなく痛みが少なく
ご安心いただける
インプラント治療を
インプラント手術の痛みに対して不安に思われる方がたくさんいらっしゃるかと思いますが、手術中は麻酔をするため痛みを感じることは基本的にありません。術後の腫れや痛みは2〜3日で落ち着き、段々とひいていくことが多いです。
当院では術後も痛みを感じにくいインプラントを目指し、患者様に安心して治療を受けていただけるよう様々な工夫と配慮をしています。
まとめ
インプラント手術中は局所麻酔により痛みはほぼありません。術後の痛みや腫れも2〜3日程度で落ち着くのが一般的です。親知らずの抜歯と比較しても、インプラント治療の方が痛みや腫れが軽く短期間で済みます。
当院では表面麻酔や極細針の使用などで痛みを最小限に抑える工夫をしています。術後は適切なケアと定期メンテナンスでインプラント周囲炎を予防し、長期的な健康を維持できます。