2026.07.13
お子さまの「お口の機能」、しっかり育っていますか?
こんにちは。やまもと歯科大久保院です。
当院では、4歳から11歳のお子さまを対象に、口腔機能検査という検査を行っています。診療の中でお子さまのお口を診ていると、噛む力や飲み込み方、舌の使い方といった、お口まわりの機能が年齢相応に育っていないケースに出会う場面が、以前より増えてきたように感じています。
やわらかい食事が中心になったことや、口呼吸の習慣、姿勢の崩れなど、原因はひとつではありませんが、こうした変化を背景に、お口の機能そのものに目を向ける必要性が高まっていると感じ、検査を取り入れることにしました。
4歳から11歳を
対象にしている理由
対象を4歳から11歳としているのは、この時期が乳歯と永久歯が入り混じる、いわゆる混合歯列期にあたるためです。あごの骨がまだ成長を続けているこの時期であれば、多少のかたよりがあっても、機能を整えることで改善につながりやすく、逆にこの時期を過ぎてしまうと、癖として定着してしまい、改善に時間がかかりやすくなります。
お口の機能が担っている役割
お口の機能というと、噛むことや飲み込むことをイメージされる方が多いと思いますが、実際にはそれだけではありません。発音のしやすさ、姿勢の保ちやすさ、さらにはお顔や顎の成長にまで関わってきます。たとえば舌の位置が正しくないと、上あごの成長がうまく促されず、歯が並ぶスペースが不足しやすくなりますし、口呼吸が習慣化すると、口まわりの筋肉がゆるみ、さらに口が開きやすくなるという悪循環につながることもあります。
口腔機能発達不全症とは
こうした状態が一定の基準を満たす場合、口腔機能発達不全症という診断名がつくことがあります。これは2018年の診療報酬改定で新設された、比較的新しい病名で、お口まわりの筋肉や機能が、年齢に応じて十分に発達していない状態を指します。
診断の流れ
診断にあたっては、問診でふだんの食事の様子やお口の使い方をうかがったうえで、口腔内の診査、舌圧や咀嚼能力などの機能検査、そして日本歯科医学会の基準にもとづくチェックリストを組み合わせて評価します。食べる機能や話す機能など、複数の項目にわたって該当がみられる場合に、診断に至る流れです。
検査で見ていること
口腔機能検査では、主に次の2つの観点からお口の状態を確認していきます。
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舌圧・口唇圧の測定
舌圧・口唇圧の測定では、舌の力や唇を閉じる力を測定します。舌圧が弱いと、飲み込み方が乱れたり、正しい発音がしにくくなったりすることがあります。口唇圧が弱いと、無意識のうちに口が開きやすくなり、そこから口呼吸の習慣につながっていくケースも少なくありません。
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歯の生え変わり(萌出)の確認
歯の生え変わりの時期が年齢相応かどうかも、あわせて確認します。乳歯から永久歯への生え変わりが極端に早い、あるいは遅いといった状態も、お口の機能と関わりがあるためです。これらの数値が年齢に応じた基準に達していない場合は、必要に応じて矯正の資料採りをおすすめし、今後の見通しをご説明したうえで対応を検討していきます。
放置するとどうなるか
この状態を放置してしまうと、歯並びが乱れやすくなるほか、口呼吸がさらに定着しやすくなり、姿勢やお顔立ちにも影響が及ぶことがあります。口呼吸が続くと、舌が本来あるべき上あごの位置から下がってしまい、あごの発育の方向自体が変わってしまうこともあります。小さなお子さまのうちは変化に気づきにくい部分ですが、成長とともに癖として固定されてしまうと、大人になってからの改善には時間がかかることも少なくありません。
ご自宅でできるトレーニング
ご自宅では、器具を使ったトレーニングと、体操やうがいによるトレーニングを組み合わせて行っていただいています。どれも即効性のあるものではありませんが、毎日少しずつ続けていただくことで、お口まわりの環境が少しずつ整っていきます。当院では定期的な来院時にあわせて、進み具合を確認しながら、お子さまに合ったペースで進め方を調整しています。
器具を使ったトレーニング
リップルトレーナー
主に唇を閉じる力を育てるための器具です。無理なく唇まわりの筋肉に働きかけていきます。
ぺこぱんだ
舌の力や使い方を育てるための器具です。リップルトレーナーとは役割が異なり、舌の動かし方そのものを整えていきます。
体操・うがいトレーニング
舌を大きく動かすあいうべ体操や、口を閉じたままぶくぶくとうがいをするトレーニングも取り入れていただいています。どちらもご自宅で気軽に取り組める内容です。
こんな様子があれば早めのご相談を
日常生活の中で気にかけていただきたいサインとしては、次のようなものがあります。
- 口がぽかんと開いていることが多い
- 食べるのが遅い、もしくは飲み込みにくそうにしている
- 寝ているときにいびきをかく
- 食事のときにくちゃくちゃと音が鳴る
これらのサインは単なる癖のように見えて、お口の機能の発達と関係していることが少なくありません。気になる様子があれば、大きな問題として捉えすぎず、まずは一度ご相談いただければと思います。
いびきについて
いびきについては、鼻づまりや扁桃の状態など耳鼻科領域が関係している場合もありますので、必要に応じて耳鼻咽喉科とも連携しながら診ていくようにしています。
検査自体は短い時間で終わりますので、通常の定期健診の際にあわせて受けていただくことも可能です。お子さまの成長を長い目で見守りながら、必要なタイミングで必要なサポートができるよう、当院としても丁寧に関わっていきたいと考えています。気になることがあれば、どうぞお気軽にお声がけください。
この記事を監修した人
やまもと歯科 大久保院 院長
山本 康博
院長の山本は、一般歯科から専門的な治療まで幅広い診療を提供し、地域の皆様の口腔健康をサポートしています。国立東北大学歯学部を卒業後、滋賀医科大学医学部歯科口腔外科に入局し、総合歯科や複数の医療法人で院長を歴任。2018年にやまもと歯科大久保院を開院しました。
歯科医師臨床研修指導歯科医師(厚生労働省)の資格を持ち、日本口腔インプラント学会会員として専門的な知識と技術を習得。ストローマンインプラントマスターコースをはじめとする多数の研修に参加し、「家族と同じように、想いを込めて治療する」という理念のもと、患者様に寄り添った丁寧な歯科医療を提供しています。