乳歯の虫歯を放置するとどうなる?~小さな歯にも大きな影響~
「乳歯はいずれ抜けるものだから、虫歯になっても放っておいても大丈夫」と思っていませんか?これは多くの保護者の方が誤解しやすいポイントですが、実は乳歯の虫歯を放置すると、子どもの健康や将来の永久歯にさまざまな悪影響を及ぼします。今回は、乳歯の虫歯を放置することで起こりうるリスクや、その重要性についてお伝えします。 乳歯の役割とは? まず、乳歯は「どうせ生え変わるから大したことない」と思われがちですが、実は重要な役割を担っています。 咀嚼(そしゃく)機能を担う食べ物をしっかり噛むことで、消化を助け、体の発育をサポートします。 言葉の発音を助ける舌や唇の動きを助け、正しい発音の習得に必要です。 永久歯の位置を誘導する乳歯は、下にある永久歯が正しく生えてくるための"道しるべ"のような存在です。 このように乳歯は、成長期の子どもにとって非常に重要な存在なのです。 虫歯を放置するとどうなる? それでは、乳歯の虫歯を放置した場合に起こるトラブルをいくつか見ていきましょう。 痛みや腫れによる生活の質の低下虫歯が進行すると神経にまで達し、強い痛みや腫れを引き起こします。食事がしづらくなったり、眠れなくなったりすることで、子どもの生活全体に悪影響を及ぼします。大人よりも痛みに敏感な子どもにとって、虫歯の痛みは大きなストレスになります。 永久歯の発育に悪影響乳歯の下には、これから生える永久歯が控えています。虫歯が根の先まで進行すると、その下の永久歯に細菌が感染してしまうことがあります。その結果、永久歯が変色したり、形成不全(歯がきちんと作られない)になったりすることもあります。 歯並びが悪くなる乳歯を虫歯で早期に失うと、隣の歯がそのスペースに倒れこんできてしまいます。すると、後から生えてくる永久歯が並ぶ場所がなくなり、歯並びが乱れる原因となります。将来的に矯正治療が必要になるケースも少なくありません。 虫歯菌の増殖と全身への影響虫歯は"感染症"です。放置された虫歯には細菌がたくさん繁殖しており、その細菌が血管やリンパ管を通じて全身に影響を及ぼすこともあります。まれに重篤な病気に発展することもあるため、甘く見てはいけません。 虫歯予防と早期治療の大切さ 乳歯の虫歯は、正しいケアと定期的な歯科検診で防ぐことができます。 毎日の歯磨きを習慣づける(仕上げ磨きは10歳ごろまで) 糖分の取りすぎに注意 定期的に歯科医院でチェックとフッ素塗布を受ける また、万が一虫歯ができてしまった場合も、早めに治療することで痛みも軽く済み、永久歯への悪影響も最小限に抑えられます。 最後に 乳歯は一時的なものではありますが、その役割は一時的ではありません。健康な永久歯や正しい噛み合わせ、きれいな歯並びを育てるためには、乳歯の健康管理が非常に重要です。小さな虫歯でも放置せず、「どうせ抜けるから」ではなく「今が大事」だという意識を持って、お子さんの口の中を守ってあげましょう。
2025.10.08